世界的なコンサルティングファームであるデロイト トーマツが、2017年12月に、「SDGsビジネスの可能性とルール形成」という報告書で、SDGsビジネス市場規模を発表しました。
市場規模の算出方法
市場規模の算出に際しては、SDGsの本文から抽出したキーワードに基づいて、その課題解決に資する製品・サービス等を導出してSDGsビジネスとみなし、それらの市場規模(金額)を加算するという方法を取っています。
例えば目標1であれば、ターゲットに含まれている「災害」「強靭性(レジリエンス)「気候変動」等のキーワードから、「防災関連製品」「気象・災害予測・警報」等をSDGsビジネスとして導き出すといった具合です。
SDGsビジネスの市場規模
その結果、各目標における市場規模は以下の表のようになっています。小さいものでも71兆円(目標4)、最も大きいもので803兆円(目標7)となっています。キーワードに基づくビジネス選定のため、漏れているものも多くあるでしょう。
SDGsビジネスに意識的に取り組んでいない企業であっても、この算出基準ではSDGsに繋がる製品・サービスを保有していると見做されています。既に存在している市場を切り口を変えて並べただけではないか、という見方もありますが、SDGsに親和性のあるビジネスはこういうものだということを直感的にとらえやすい情報ではないでしょうか。
世界中でSDGsの達成に向けて、政府も大企業もこの領域に投資をしていくことで合意されていますので、ここに挙げられているビジネスをはじめ、SDGsに親和性の高いビジネスの市場規模は成長していくことが予想されます。
マイクロファイナンス、職業訓練、災害保険、防災関連製品 等 | 183 | |
給食サービス、農業資材、食品包装・容器、コールドチェーン 等 | 175 | |
ワクチン開発、避妊用具、医療機器、健康診断、フィットネスサービス 等 | 123 | |
学校教育、生涯教育、文房具、Eラーニング、バリアフリー関連製品 等 | 71 | |
保健、介護、家電製品、女性向けファッション・美容用品 等 | 237 | |
上下水プラント、水質管理システム、水道管、公衆トイレ 等 | 76 | |
発電・ガス事業、エネルギー開発 等 | 803 | |
雇用マッチング、産業用ロボット、ベンチャーキャピタル、EAP 等 | 119 | |
港湾インフラ開発、防災インフラ、老朽化監視システム 等 | 426 | |
宅配・輸送サービス、通信教育、送金サービス、ハラルフード 等 | 210 | |
エコリフォーム、災害予測、バリアフリー改修、食品宅配 等 | 338 | |
エコカー、エコ家電、リサイクル、食品ロス削減サービス 等 | 218 | |
再生可能エネルギー発電、林業関連製品、災害リスクマネジメント 等 | 334 | |
海洋汚染監視システム、海上輸送効率化システム、油濁清掃、養殖業 等 | 119 | |
生物多様性監視サービス、エコツーリズム、農業資材、灌漑設備 等 | 130 | |
内部統制監査、セキュリティサービス、SNS 等 | 87 | |
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市場規模12兆ドル(約2160兆円)という試算も
デロイト トーマツの発表とは別に、2017年の年次総会(ダボス会議)において「SDGsは2030年までに12兆ドルの新たな市場機会を産み出す」という試算が発表されました。
Business &Sustainable Development Commissionが発行した「Better Business,Better World」というレポートでの試算が基となっています。
検討対象になった食料・農業、都市、エネルギー・資源、健康・福祉の4分野のみの試算であり、この4分野で実体経済の6割程度を占めると見られています。従って、残りの4割分を足すと、SDGsの市場規模は20兆ドル(約2160兆円)となります。
【参照】デロイト トーマツ「SDGsビジネスの可能性とルール形成(最終報告書)」
【参照】UN(国際連合)「BETTER BUSINESS BETTER WORLD」